タイトルが恐ろしいですが、こういう詩集(?)の本があります。結構至って普通な詩が並んでいますが。何でこのタイトルなんだろ……と思います(笑)
そんな少し怖いタイトルの本から詩を少し失敬した亜紀と朔が出遭う記念すべき第一話とWベーゼかまし事件勃発の二話収録の世中愛叫ドラマ版1巻(前ふりなのか)
書いてて気付いたんですが三千文字に収めるのは無理なので、一話ずつ。

第一話
切ない滑り出し。過去の朔がウルルの絶壁で亜紀の遺灰を撒けなかったシーンを音無しで流れ、泣き崩れた朔の後に17年後の朔もまた、涙を零している。
原作にも在る科白だけど「朝、目が覚めると泣いている。悲しいからではない。17年前の夢から17年後の現実へと戻ってくる瞬間、跨ぎ越さなくてはならない亀裂があり僕は涙を流さずにそこを通り越すことが出来ない。」
忘却という免罪符さえも自らの手で捨てた朔太郎は医療関係の仕事に就いていた。仕事人間になる事で亜紀の事を考えない様に生きている。この人の時計は、17年前で完璧に止まっているわけだ…。この人は本当にこういう役が似合うなぁと思う。
そんな朔太郎に、亜紀との思い出が詰まった校舎が取り壊されるという内容のハガキが届く。差出人は17年前の当時担任だった谷田部先生。
ハガキの内容には亜紀の名前も在った。
「まだ忘れられませんか?」そして朔太郎は思い出そうとする。7月2日のことを。
けれど朔太郎は過労でその場に倒れてしまい、数日の入院を要される。
そんな朔太郎を心配して病院に見舞いに来たのは大学時代からの朔太郎の唯一の友人・小林明希と息子の一樹。母子家庭。
その夜、明希と一樹が帰った後で偶然付けていたラジオから亜紀に似た内容の女性の投稿ハガキが読まれた。亜紀の幻影を追いかける様にして朔太郎は病院から抜け出す。ふらふらの体でラジオ局の前に足を運ぶがそこに勿論亜紀は居ない。雨の中に倒れる朔。

1987年
二人の出遭いは何の縁か葬式だった。学年主任であった教師の葬式で在校生徒代表で弔辞を読む学校の華・廣瀬亜紀。容姿端麗、勉強も出来て、学級委員長で愛想も良い。
そこで弔辞の最中に天気雨。親が念の為に用意していた傘を亜紀に差し出す朔太郎。
亜紀は無事に弔辞を読み終える。
この時ナレーションで「その時の感情は、言葉に出来ない」と山田朔が語るように、朔太郎は亜紀に一目惚れなわけだけど亜紀は重ねる様に朔を好きになるんだよねぇ。男女の差が出てて良いなぁと思う。
朔の友人の坊主(寺の息子だからってこのあだ名/笑)は随分前から亜紀のことを好きな様子で、朔太郎もそれを知っている。そして次の日、坊主に「一生に一度のお願い」と言われ亜紀の誕生日プレゼントの為にラジオ用にハガキを書いてと頼まれる。坊主は自分より朔に文才があるのを知っているしね(幼馴染だし)。
来週のテーマは「思わず涙の切ない話」
朔は亜紀への想いを言うなんてことは出来ず、坊主への友情を優先してしまう。
坊主は寺の息子だから就職先が決まってるんだよね。亜紀みたいな女の子と恋をして自分の未来を少しでも変えたかった訳だ。こういう青春もあったんだぞってね。勿論純粋な思いが殆どだけど。
でもここは朔ちゃんの勝ちって事で、お前さん(笑)
朔の書いた「思わず涙の切ない話」は「実はクラスメイトのA・Hさんが白血病に成ってしまい僕はどうしていいか判らず悲しくて」という内容。勿論、H・Aとは廣瀬亜紀。つまり亜紀が白血病になった話を架空で書いた訳で、しかしそれが現実になる日が来てしまう訳で……。運命って残酷だ。
亜紀も同じラジオ番組を聴いている。そして、朔もそれを知っているからどこか後ろめたく坊主に少し冷たくしてしまう。そしてハガキの内容からすぐに内容の人物が自分であり、書いた人物も判った亜紀は翌日朔を尋ねる。ここの亜紀の科白が良かった。
「世の中には本当に病気で苦しんでる人が居るんだよ?もし、松本君の家族や恋人に白血病の人が居たらどう?こんなハガキ許せる?」と。それに対して朔は「別に本当の話だと思って聞いてんだからいいじゃん。それに廣瀬は俺の彼女でも何でもないだろ。」と逆撫でする様な言葉を返してしまう。
勿論、亜紀は怒って朔の前から去ってしまう。
しかしその会話を聞いてしまっていた坊主は亜紀と朔が良い感じの関係に成ってたことを知ってしまう。
まぁ、坊主の気持ちも判るけどそれなら肝心な事は自分でやろうねぇ…。
たこ焼きパパさんでスケちゃんが坊主にたこ焼きを奢っていたのに和んだなぁ。
その夜、坊主が朔の家へとやって来る。ぶっきらぼうに景品のMDウォークマンを朔に渡す坊主。自分の負けは認めたが廣瀬の事は諦めないと叫びながら帰っていく。
こういうのって青春してて好きだなぁ。でも坊主の恋って本当に悲しいな…。亜紀を見て「自分じゃ幸せに出来ない」と思いながら、亜紀が幸せになるのを祈って亜紀が死ぬまで片想いしてたんだし。
翌日、亜紀の下駄箱の中に「ハッピーバースデイ」と書かれたMDウォークマンがあった。中にテープが入っている事に気付いた亜紀は、テープを聴く。
それ告白だろうというような言葉が入ってるテープ(笑)
「でも判って欲しいこともあって…あれは、俺にとって本当に一番切ない話だったんだ。俺は、廣瀬が居なくなるのが何よりも…一番悲しい」って大胆だな朔ちゃん(笑)
テープで聞いた「あの場所」の堤防へ亜紀は急いでやって来る。ここで「あの場所で待ってるって、あの場所じゃわかんないでしょ」って言ったのが可愛かった(笑)そりゃそうだよ、朔ちゃん(笑)
そして朔にMDウォークマンを返して「聴いて」と言う。
ここで亜紀も告白の内容を入れているんだけど、亜紀の心理変化と一緒に朔を好きに成っていく過程が判るのが演出として上手い。朔は一目惚れで亜紀は重ね合わせていく訳だ。
「廣瀬亜紀です。今日は、私の好きなものについて話したいと思います。第5位、たこ焼きパパさん…の前でこそこそハガキを書いている松本朔太郎。第4位、ガムのオモチャで騙される人の良い松本朔太郎。第3位、いつもいつも鍵を失くしてもぞもぞしてる松本朔太郎。第2位、「ジュリエットやめたら?」と言ってくれた松本朔太郎」でテープが終る。朔は驚く。そら驚くな。(笑)
そして亜紀「第1位…あの日、傘を差し掛けてくれた松本朔太郎…好きよ、朔ちゃん。大好きだよ。」
まぁそして朔と亜紀は恋人同士になるわけで。亜紀は朔の色んな面を見てた訳か。理由は傘を差しかけてくれた時から気に成ってたから。上手だなぁ。
でもナレーションの「これが亜紀の最期の誕生日」という緒形朔の語りが切なく痛々しい。
再び現代朔。亜紀のことを思い出し涙を流しながら「ずっとこんな風に生きて行くのか」と自分に問う。そして「忘れなければいけない」と決意し、亜紀の遺灰の入った小瓶片手に17年振りに故郷・伊豆へと向かう。

第一話の印象。非常に丁寧な創り。現在を背負う緒形朔と桜井明希は演技派で、重厚な印象を与えてくれる。
17年前の人達は髪型から口調まで全員80年代していて、流石オフィスクレッシェンドという感じで小道具から何まで80年代。一話では綾瀬はるかちゃんの少しお人形さん的な笑顔が引っ掛かったけど、二話への伏線で、それは彼女の演技だと思い知らされた。
仲代さんは、存在が卑怯なんじゃないですか(笑)

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